Profile

■イノウエ カンナ
1977年　大阪生まれ
2005年からテディベアを描き始める。
主に日本国内、アメリカ、中国で活動。

28歳の時の交通事故が転機となりました。 バイクに乗っていたときの事故でした。救急病院に運ばれ意識不明の状態が数日続きました。後日、医者から生きていたことが奇跡だと言われました。それから2度の手術を受け1年程入院しました。仕事も辞めました。
ベットで目覚めた僕の眺める窓から見える風景は、キラキラしていました。遠くに見える山も、ゆったりと流れる川も、小さく見える町も、美しく感じました。ガラス越しに射してくる太陽のビームが、白く透けたカーテンに模様をつくっていました。窓から通り抜けてくる空気が、白く透けたカーテンに息を吹き込みました。
身体がつぎはぎだらけになるほど手術を受けました。閉じ込められたベッドにいるとき、母が置いていったクマのぬいぐるみだけが“わたし” を見ていました。
体力がゆっくり回復してくると、そのクマをスケッチして、入院中は静寂の中でクマのぬいぐるみと向き合っていました。 記憶の中の風景と、部屋の中の「テディベア」とです。
それが自分と向き合うことになったきっかけです。自分と向き合うために「テディベア」を描いています。